遥かなる才能を持つ女性ベーシスト達

ほんとは「女性」ベーシストなんて区分けしてはいけないし、事実として区分けするのも意味がないと思っている。音楽においてその才能はもはや随分前から男女平等、LGBTも含めて平等だ。ていうか差などない。

 

だけど、あえて今回はこのタイトルとさせて頂く。僕は古い人間だから、どうしても世の中の人間を、男vs女で見てしまうところがある。そして性差別撤廃運動は女が男に勝つための運動であり、女性が男を奴隷化することを目的にしているんじゃないかとすら思っている(思ってないw)。で、実際、特にベーシストの世界ではもう、男は女に太刀打ちできないんじゃないかと思っている。いやもうね、そのあまりの才能の凄さに口をポカンと開けて見惚れるほかはないのだ。

 

というわけで今回も先ずはそのうちの一人目の紹介。

 

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エスペランザ・スポルディングだ。グラミー賞は取るわ、かつての米国大統領オバマの前で演奏するわ、本場米国でも絶賛状態。いやー、こんなすごい才能が世の中に存在し得るのかと、エスペランザの存在を知った時には信じ難かったね。彼女の場合、もちろん単なるベーシストに留まらない、一体どこまでその才能は広がるんだというくらい音楽的才能に溢れまくってる人なのだけど、なんでも出来てしまうんだから仕方ない。完璧だ。そして当然の当然のことだが、ベースも抜群に上手い。僕の中ではTal Wilkenfendと同レベルの存在であり、Jacoの再来であって、マーカス・ミラーが持っていたベーシストヒーローの座は彼女に明け渡さねばならない。

 

というわけで、もはや、エスペランザ一人で全男性ベーシストの負けは確定しているわけだが、なおも女性ベーシストは容赦なくその才能を男性にぶつける。

 

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イーリス・トルーさん。え? 誰それ? って? しかもベーシスト違うやん? って? ・・・ええまぁ、単に私個人的に好きなんでw  でも凄いでしょ、ルーパー使って一人で全楽器を一度にやっちゃうんですよ。その上、アレンジセンスと、このMVのクオリティの高さ。多分、確かまだ二十歳くらいの人で、自分で立ち上げたレーベルで活動しているそうです。ベーシストじゃないけどベースだって上手いもんです。ともかく凄い才能だってことには間違いありません。一人で全部やる男性も世界には結構いますが、センスの良さではおそらく男性は太刀打ちできませんね。

 

さてラストは・・・

 

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Kynga Glykってポーランドジャズベーシストさんです。 この人も若くて、まだ二十歳くらいなんですってさ。二十歳でこんなベース上手かったらあかんとは言わへんけど、にしてもお上手です。ここで弾いているのはJacoのDona Leeの完コピなんですけど、この難曲を笑顔で弾く人は見たことありません。Youtubeにもたくさんこの人の動画は上がってますが、バカテクの上に音楽センスもかなりいいんじゃないかな。

 

というわけで今回は短く、才能溢れる女性ベーシストの焦点を当ててみましたっ。

 

 

 

知られざる職人ベーシスト達

今回紹介するベーシストの知名度はそんなにないと思うんだけど、実際どうなのかはよくわからない。とりあえずタイトルは「知られざる」としたけど。

 

ところで、世界三大ギタリストと言えば、エリック・クラプトンジミー・ペイジジェフ・ベックが挙げられることがほとんどだと思うけど、その中でベーシストにうるさいのがジェフ・ベックなんじゃないかなと思っていたりする。クラプトンやペイジももちろんいいベーシストを従えて演奏してきたと思うけど、ジェフ・ベックはどうも職人的気質が若干強いようで、共演者にもそれを求めるところはあるのかもしれない。

 

例えば以前紹介した、Tal Wilkenfeldなんかもそうだろう。

 

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共演映像ではよく知られているのがこれ。

 

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Talがベースソロを弾いている時のジェフ・ベックの楽しそうな事。挙句にはセクハラまがいのこんなお戯れまでやっている。

 

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まー、とにかくジェフ・ベックはタルをかなり気に入っていた事だけは間違いない。さて、そんなジェフ・ベックと共演した人に、フィル・チェン という知る人ぞ知るベーシストがいる。多分ほとんど知る人はいないのではないだろうか。

 

 

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こちらの紹介動画を見ても誰だか全然わからないかもしれない。僕もたまたま今検索しただけであるが、ジェフ・ベックのブロウ・バイ・ブロウってアルバムでジェフ・ベックと共演している。中国系のジャマイカ人だそうである。このフィル・チェンを一部界隈(要するにベーシスト界隈)で一気に有名にしたのがこの曲である。

 

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今では知らない人も多いだろうけど、前世紀のスーパー・ロック・ボーカリストであられるロッド・スチュアートのこの曲である。この、ドッパパ、ドッパパ・・と続くオクターブフレーズのベースラインがあまりに当時新鮮だったので、これを聞いたベーシストはみんな真似しようとしたわけである。ところが、これがやってみるとクソ難しいらしい。

 

フィル・チェンはツーフィンガーでやっているんだけど、スリーフィンガーだと勘違いした人も多いらしい。僕はツーフィンガーで若かったからか割とすぐにマスターしてしまったけど、僕が弾くのを見て「どうやって弾いてるの?」と別のベーシストから何度も聞かれた。自分自身ではそんなに苦労した覚えはないのだが、ネットで検索かけてもこのベースラインの話題に結構出くわすので相当難しいのだと思う。

 

このドッパパベースラインフレーズがいかに数多のベーシストに影響を与えたかというと、以前少しだけ触れたけど青木智仁が杏里の「悲しみが止まらない」という名曲で取り入れたのがその象徴になるかもしれない。

 

※ここでその杏里の曲のYouTube動画リンクを貼ろうとしたが、YouTubeに動画があってもすぐ削除されるので貼らないことにした。サブスク音楽配信サービス等にもあるので聞いてみて欲しい。控えめに青木氏がドッパパを弾いている。

 

追記:

ところでそのロッド・スチュアートの"Do Ya Think I'm Sexy"って曲、実は盗作である。*1

ジョルジ・ベンというブラジル人アーティストの「タジマハール」という曲のサビメロディを完全にパクっている。今回改めて聞いてみたがどう聞いてもパクリである。訴訟になってロッドの敗訴、盗作で確定している。ちなみにどういうわけかロッド側はタジマハールの方が盗作だと主張したらしい。三年も前にタジマハールの方が先に発表されてるのだから頭がおかしいと言わざるを得ない。他にもストリングス編曲がそっくりな曲が他にあるのだがそちらは訴訟になってない。こうした盗作騒動は音楽業界では昔から洋の東西を問わずよくある話ではあるが。但し、フィル・チェンのベースラインはまず間違いなくオリジナルである。

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さて次は、この人。

 

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今時は、ポリティカル・コレクトネスっつって差別的な表現には気をつけなきゃいけないのだけど、当時はこれは絶対「黒人ベーシスト」に違いないと思われた。ここまでのファンキーなグルーブのベースは絶対黒人でなければあり得ない、と。実際には、肌の色でそんな違いがある筈はないんだけど、「黒人音楽」という分類がしっかり根付いていた時代(今もかもしれないが)、開けてびっくりこれはウィル・リーという白人ベーシストとわかって大勢が驚いた。

 

この24丁目バンドってのは、実は日本人による企画で、日本で売れることを最初から目的にしていた。目論見通りヒットし「やっぱアメリカの音楽って最高だよね」みたいに日本人に思わせたのである。だから「黒人ベーシストに違いない」と騒いでいたのはどうやら日本人だけのようだ。まぁ、ネットもない時代、情報も限られていたから仕方ないよね。

 

確かにしかし、そのファンキーなグルーブは素晴らしいもので、上手いと言わざるを得ない。ここまで上手いともちろん本場アメリカではスタジオ・ミュージシャンとして引っ張りだこで、今でも超一流ミュージシャンとして活躍しておられる。ちなみにあのサドウスキーベースを有名にした一人でもある。

 

ウィル・リーは大の日本好きであることでも知られ、日本人アーティストとも多く共演しているし、個人的に知っているところでは、割と最近、日本人若手天才女性ドラマーとして有名な佐藤奏さんのYoutube動画にウィル・リーがコメントしたりしている。ぜひ共演を果たしてほしいところではあるが。

 

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実は今回はこれが言いたかったw。僕はずっと前から佐藤奏さんの大ファンなのでもっと多くの人に知ってほしいなぁとか思ってるので。

ベースをピック弾きすることは邪道?

もちろん邪道なんかではないのだけど、昔から実はそんな議論というか、無駄な言い合いは続いている。きのこたけのこ戦争だって、実際どちらも美味いのだw

 

特に、ロックの現場では圧倒的というほどではないけど、ピック弾きするベーシストの方が多いと断言していいだろう。その理由はよくわからないけど、ピックで弾く方が多少簡単で始めやすいということはあるのかもしれない。ロックってなんか勢いでバンドやっちゃう雰囲気あるし、実際のところかつての私もそうだった。

 

私の場合は、もともとそれ以前からやっていたアコースティックギターを、ほとんどピック弾きでやっていたから、ベースに持ち替えてもピックで弾くというのが当然だったんだけど、ある時にピック弾きに挫折してしまって、それ以来指である。何に挫折したかというと、三連符だ。ピックを弦に対して上下にピックする、いわゆるオルタネイトピッキングだと、三連符が続くと奇数拍と偶数拍でアップとダウンの順番が・・・どうでもいい話なのでやめる。

 

さて、ピック弾きの名手と言えば必ず上げられるのがイエスクリス・スクワイだ。

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リッケンバッカーのベースでゴリゴリと弾きまくっておられる。なかなかにメロディアスなベースラインであることも多く、イエスの楽曲はクリス・スクワイアなしではありえない非常に特色のあるベースを弾く。クリスのピック弾きは決して指弾きでは再現不可能だと思う。

 

続いては、前回の記事でも触れたキャロル・ケイ

 

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このダイアナ・ロスの曲でジェームス・ジェマーソンみたいなベースを弾いているのがキャロル・ケイだ。こういう感じで、指弾きと全く遜色なくピックでグルーブ感たっぷりのベースが弾けてしまうわけである。キャロル・ケイはもともとはジャズのセッションギタリストなのでピック弾きになったのだろうけど、ギターの方もなかなか上手い。

 

ところで、実は私、あまりピック引きの名手は知らない(笑)。いっぱいいるのは知っているが、特に興味を持ったこともない話なので、こんなタイトルにしてちょっと困っている。だから思いつきで紹介するしかないのだけど・・・今思いついたのは、日本人ベーシストではもはやレジェンドな亀田誠治

 

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亀田誠治といえばどうしたって椎名林檎を切り離せない。椎名林檎がいなくても亀田誠治は成立しただろうけど、失礼ながらぶっちゃけその知名度椎名林檎に依存したものであることは疑いの余地はない(ミュージシャンなんて運が大きい部分はあるよねって言いたいだけで、他意はない)。それはさておき、亀田さんのベースはピックだけじゃなくて指だって使うし、スラップだってするので、万能ベーシストである。もちろんどの奏法でも抜群に上手い。私が覚えているのは、まだモヒカン刈りの亀田誠治さんが丸の内サディスティックで例のベースソロを弾くところなんだけど、あれは初見でかっこいいと思ったなぁ。

 

というわけで、よく知らないからあんまり紹介は出来なくてすまない。この記事書くのに「ベース ピック弾き 名手」なんてググって他のブログを見たりしていたのだけど、上三名は完全に他でも挙げられてるし、私の出る幕ではなかったようである。ただ、私の知らないこんな人もいたというのはちょっと驚いたのでこのブログでも紹介しておく。発想としてはありがちだけど、本当にやってる人がいるとまでは思わなかった(笑)

 

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ジェームス・ジェマーソンはベースの神様なのか?

このブログの記念すべき第一回目として、Jaco Pastoriusをあげたわけだが、Jacoを神として崇める人も多いだろうが、私は神様とは呼べないと思っている。神として誰を崇め奉ろうが自由だし、崇め奉らなくても良いだろうが、Jacoを神と出来ない理由はある。

 

 

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ベースの歴史においてJacoがもたらした影響が確かに多大だと思う。私の表現としてはベーシストもヒーローになれるという可能性を示した、ということである。だから大勢のベーシストがJacoに憧れて、難しいフレーズや早弾きフレーズをどんどん弾くようになっていったのであるが、一方でベースの果たす役割まではJacoは変えなかった。というより変えようがない。

 

バンドの中でベースは楽曲のベーシックラインとなる低音域を担当する、という役割は変えようがない。それだけではなく、いわゆる”グルーブ”を作り出していくのはベースの重要な役割である。グルーブとは何か?ということに答えるのは私ごときでは到底不可能なのではあるが、いわゆるエレキベースが用いられるポピュラーな音楽の中で、グルーブを作り出すという意味で、モータウンの与えた影響は計り知れないものがある。もっと大袈裟に言えば、モータウンミュージックこそエレクトリックベースの役割を確立させたのだとすら言える。

 

その中でも、ジェームス・ジェマーソンこそ最も大きな影響を後世に与えたと言えるだろう、彼こそエレクトリックベースの神である・・・・と、一般普遍的にはそう思われているようなのだが、ただモータウンの専属ミュージシャンとして一番活躍していたというだけじゃないの? という意見もあったりする。あるいは、モータウンレコードでは1960年代ごろはミュージシャンがレコードにクレジットされないことが多かったということもあり、実際にベース弾いていたのかが誰なのかわからず、キャロル・ケイなんつーロサンゼルスはハリウッドの白人女性ベーシストがその大半を担ってた可能性もある(実際、ロサンゼルス版のモータウンレーベルではその大半がキャロル・ケイらしい)、なんてな議論も一部ではあるようだ。

 

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まぁ、上の動画ではちゃんとジェームス・ジェマーソンも映ってるしちゃんと弾いていたのは間違いない事実ではあろう(当然だけどw)。ただ、確かにジェマーソンは多くの名演をしたのは間違い無いのだろうけど、キャロル・ケイやチャック・レイニージェリー・ジェモットなど他の著名ベーシストも同時期に多くの楽曲に関わっており、私としてはジェマーソンだけを別格にする必要もないかなと思っていたりする。

 

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ね、キャロルもジェマーソンに全く引けを取らないグルーブと歌うようなベースラインでしょ? これいつの頃なのか知らないけど、クールでかっこいいよね。ポール・マッカートニーなんかはよくジェームズ・ジェマーソンの影響を受けたなんてな話をするんだけど、実はその曲はキャロル・ケイが弾いていたなんてな話もあったりするようで。

 

結局のところ、同時代に活躍したベーシストさんたちみんなで”グルーブ”を作り出していったんじゃないのかなと、私自身はそんなふうに思ってます。それにしても、この1960年代から1970年代にかけてのこうした音楽を聴くと、ベーシストさんが多くのことを学べるのは間違いありません。そういう意味で、その象徴としてジェームズ・ジェマーソンはベースの神の一人ではあるでしょう。

  

伝説のモータウンベース  ジェームス・ジェマーソン (Bass magazine)

伝説のモータウンベース ジェームス・ジェマーソン (Bass magazine)

 

 

ネットで見つけた驚愕ベーシスト達

今や、世の中めちゃくちゃに上手いベーシストは多分炊飯ジャー満杯に炊いた時のお米の米粒の数より多いのではないか。何粒か知らんけどw

 

ネットで世界中の多くのプロ・アマチュアベーシストさん達が晒される世の中になって久しいが、驚くほど上手いベーシストってこんなに沢山いたのかと目を見張るほどである。ベースって決して技術を競うものではないのは当然なのだけど、それでもびっくりする演奏を動画で目の当たりにすると、それはそれで注目せざるを得ない。早速その中から個人的な選りすぐりを紹介していこう。

 

一番最初に紹介すべきは・・・うーん、先ずは大勢の方がすでにご存知のこの人。

 

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H.J.Freaksさん。動画は他にもいっぱいあるのでこれは適当に選んだだけだ。

 

僕は多分、ニコニコ動画にこの人の動画がアップされ始めた最初の頃から知っていると思う。最初は決して変態ではなかったのだか、もともと遊び心旺盛だったのだろうと思うけど、あっという間に変態コスプレ化が定番になっていった。それで一気に人気になっていったのだけど、プロだからってのはあるにせよ、技術はすごい。人差し指と中指による2連プルによるスラップ奏法はH.J.Freaksさんの得意技だけど、他の人もやってるけど凄い。早弾き速度も凄いし、あんた変態なくせしてどんだけ上手いねん!って感じ(笑)。。。但し、女装趣味があるわけではなく、あくまでパフォーマンスの一環なだけらしいけど。

 

次は、この「何やってんだかわからない」ベーシスト。

 

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これもニコニコ動画で有名になった。ビル・ディッキンスさん。

 

あまりの高速スラップにもはや動画では指の動きが残像でしか見えず、何やってんだかさっぱりわからない、と多くの人が異口同音に語った。それを6弦どころか7弦なんてな多弦ベースでやるもんだから、絶句する他ない。他に指引きの早弾き動画も見たことあるけどそれもとんでもない速さ。実はビルさん、日本ではあまり知られていないがご出身のアメリカではそこそこ有名なベーシストさんらしく、1970年代から活躍されているそうな。ジョージ・マイケルジャネット・ジャクソンのバックを務めたこともあるそうな。*1

 

続いては誰にしようかなー・・・よし、この方にしよう。

 

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Brad Russelさん。ベース一本でチック・コリアのあの名曲Spainをやっている人いるかなー?とふと思って検索したらYoutubeにいたって感じで、僕が知ってから割とすぐにニコニコ動画にも上がっててみんな驚いてた。ワーウィックのベースをバッキバキな音質にするとこんな音が出るのだけど(ソロだからこそこういう音質にわざとしているのだと思うが)、タッピングで右手左手のユニゾンフレーズやったり、ギターでしか見ないようなスウィープ奏法をやったり、よくここまで縦横無尽にあらゆる技を繰り出すものだなと、これまた唖然とするしかない。ていうか、ベースソロへの編曲が見事過ぎる。

 

ドラマーがあのジャーニーに所属したスティーブ・スミスらしいし、プロ業界でも有名な人のようにも思えるが、よくわからない。この人の動画は他にもいくつか見ることは出来るが、ここまで唖然とする演奏はないようではある、もちろん上手いけど。

 

四人目は・・・

 

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モヒーニ・デイさん。インド人ベーシストというところも珍しいけど、これもネット文化だからこそ世界に有名になったってことなのだろう、日本人でもあの世界ドラマー五百人の一人に選ばれた川口千里さんとも共演している。モヒーニさんの動画は結構たくさんネットに上がってて、荒削りなベースプレイがどんどん上達していく、みたいな成長を見る事も出来る。ともかくスピード命みたいな早弾き達人で、上に下にと忙しいその指の動きにはなぜか笑いが出るw

 

さてさて〜、結局ネットで見つけたと言ってもプロベーシストばかりの紹介になってしまったが、アマチュアもあげようと思ったんだけど、アマチュアはあまりにも多過ぎて誰を紹介するか迷うに迷う。うーん・・・・ではこの人。

 

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Marta Altesaさん。え? そこそこ上手いのは上手いけど驚くほどのことはない? いや、YouTubeで見てごらん、このブログ記事執筆現時点での再生数は驚くなかれ、1,300万回超えてるんだよ。素人さんベーシストでここまでの再生回数はみたことない。どうやら、サンドラ・ブロックの若い頃そっくりだということで人気らしいけどね。でもまぁ、ベースプレイも見事なものです、ジャミロ・クワイのこの曲、スチュワート・ゼンダーと遜色ないくらいのレベルで弾いておられますよ。

 

以上、ネットで見つけた驚愕ベーシスト達でしたっ!

 

 

※番外編:

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最初はふーん上手いなぁ、くらいに鼻くそほじりながら見てたけど、ふとこの人は左利きじゃん、と気付いて仰天! なんとこの人、左用じゃなくて右用のベースをひっくり返しただけで使ってる! 当然、弦は上下逆になるのに、えええ? スラップでサムもプルも普通の音ってどういうこと? と我が目を疑った。器用というかなんというか、常識では考えられん奏法です。人間って、なんでもやれば出来てしまうもんなのだなぁ、と感心した次第(笑)。

 

文句なしにカッコいいベーシスト三人

まずはこれを試聴せよ。

 

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ティム・ボガードである。ロックベーシストの祖先みたいなベーシストなわけだが、私がティムの存在を知ったのは、ジェフ・ベックのソロアルバムでゼア・アンド・バックだったと思う。その頃はジェフ・ベックの方にばかり興味があったのだけど、ティムのベースもやたら目立つので気にはなっていた。

 

ある時、友達とベーシストについて話していて、ティム・ボガードってかっこいいよね、って話になった。私がそういったのか友人がそういったのかは覚えてないが、それくらいの頃からティム・ボガードはかっこいいよなーと思うようになった。それもこれもまずは、ジェフ・ベックが抜群にカッコ良かったからだと思う。とにかく、奴らのやってる音楽が実にカッコいい。かっこいいばかりで、何がどうかっこいいのか説明できなくて恐縮だが、ともかくかっこいいのだから仕方ない。ドラムのカーマイン・アピスもかっこいいなーw

 

続いては日本から。これはちょっと選ぶのに苦労した。

 

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青木智仁さんだ。日本人だといろんなジャンルに分かれて、かっこいいベーシストと私が思う人は沢山いるのだけど、頭一つ抜けて青木さんを選んだ。亡くなられて十年以上経つのかな。早いなぁ。私は当時亡くなられたのを知らなくて、二年くらい経ってネットで知ったのだけど、あまりに若く亡くなられたのでびっくりした。ともかく、角松敏生とか杏里とかのバックで弾いていて有名で、めちゃくちゃかっこいスラップフレーズとそのHiFiなアトリエベース音質は一度聞いたら忘れられない。そのかっこいいセンスという観点で、未だ日本に青木氏を超える人は知らない。

 

杏里の「悲しみが止まらない」の指引きオクターブフレーズ(ドッタタ♪ってリズムなんだよね)は青木さんが日本で初めて公式にやったんじゃないかな。それがロッド・スチュアートの曲の真似だと、後に青木氏が語っていて、私は笑った。何故って、私もロッドの曲から真似し始めからだ(ほんとだよ)。指引きベーシストとして私は全然下手だけど、これだけは年老いた今でもするっと引けるので自慢だ(笑)。

 

三人目は・・・

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ミシェル・ンデゲオチェロ。実は、私はよく知らない。一枚のCDも買ってないし、ファンでもないので、この人がどういう活躍をして〜、とかいう話もほぼ知らない。ただ、ベースがダントツにクソかっこいい!というただその一点で惚れている。とにかくここまでハイセンスなグルーブのスラップベースを弾く人は他に知らん。

 

実は、知ったのは別のYoutube動画なのだけど、何度探してもそれが見つからず、検索に引っかかってこない。著作権か何かで引っかかって消されてしまったのかもしれない。それはライブ映像だったのだけど、一回見ただけで、めちゃくちゃかっこ良くて痺れまくったのを覚えている。ベースで鳥肌立ったのはあれが初めてだ。もちろん、この動画の曲もかっこいい。

 

ところで、それ以前は私はベースの弦は、ドンシャリな音が好きだったので、古くなるとすぐ変えていたのだけど、ンデゲオチェロを知ってからは切れるまで変えなくなった。ジャズベで古い弦のスラップ音がかっこいいと思うようになったからで、ンデゲオチェロも変えないんだそうである。

 

これを読んだみなさんはどんなベーシストがかっこいいと思ってらっしゃるのかな?でわでわー。

 

Jacoの再来"だった" Tal Wilkenfeld

記念すべきブログ第一回目は、Jaco Pastrius という伝説的ベーシストとしたわけだが、こうした革新的・革命的ミュージシャンが現れると、それ以後は「再来」と言われるようなミュージシャンも現れる。有名どころではビートルズがそうだった。ビートルズは音楽業界を超えて普通に歴史年表にすらその名が刻まれる偉大な存在だから、そう易々とは再来など出てくる筈もないのだが、「マ、マ、マ、マイ〜シャローナ♪」一発で終わったザ・ナックや、ほぼ日本でのみの人気で終わったチープ・トリック、匹敵するほどではなかったがそれなりに著名になったザ・ポリス、最近ではなんか雰囲気だけ似てるザ・ストライプスなど、ビートルズの再来と呼ばれたバンドはかなり多い。

 

Jacoはビートルズのようにそんな巨大な市場にはいなかったから、そんなに大勢の再来はいなかったと思うけど、リチャード・ボナなんかはJacoの再来と呼ばれた。

 

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もう大分前のことなので、ボナが出てきた頃私自身がどう思ったかもあまり覚えてないが、「こいつはすげぇ!まさかカメルーンからJacoの再来が登場するなんて!」くらいには驚いていたような気がする。但し、すぐにJacoの再来とは言いすぎだとも思っていた(無論、個人的にそう思っただけであるが……)。

 

ジョー・ザビヌルやパット・メセニーなど、Jacoと一緒にやった人達とも共演し、評判もすこぶる良くて日本では渡辺香津美とも共演している。では何故、私が個人的にボナのことを高く評価しつつも、Jacoの再来とまでは思わなかったかというと、確かに目を見張るほどに素晴らしいベーシストだとは思ったものの、些か宇宙人感が足りなかったからである(笑)

 

確か当時、他にも凄腕ベーシストはそこそこいて、例えばジョン・パティトゥイッチなんてのも凄かった。

 

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多分、時代的にはJacoが与えた影響がそれほどに凄まじかったのであろう、雨後の筍のように凄腕ベーシストになろうという意思を持つミュージシャンが増えたのだと思う。ボナもJacoの影響を受けたと言っている。

 

何れにしても、すごいベーシストが沢山現れて、ちょっとやそっとの凄さでは宇宙人感は生じない時代になってしまったのである。個人的には2000年代あたりからしばらくの間は音楽に興味があまりない生活になってしまっていたので、ベーシストにも関心は無くなっていたのだけど・・・突如、驚くべきベーシストが世に登場したのである。

 

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最初に見たのがこの動画だったことは間違いないのだけど、それが個人のブログだったのかニコニコ動画だったのかYoutubeだったのかは思い出せない。2008年くらいだったと思う。

 

こいつ、何者だ?感は、多分その若さ(この映像時はまだ十代?)も重なっていたのだろうけど、言葉ではうまく表現できないが、他のどんなベーシストとも違う、天才っぷりとでもいうか、とにかくその個性は卓越していた。まさに私が待ち望んでいた(別に待ち望んでなどいなかったがw)宇宙人感はこれであった。

 

おそらく、Talのファーストアルバムで共演した(上の動画でも共演している)、世界的ドラマーのヴィニー・カリウタがミュージシャン業界に宣伝しまくったのだと想像するが、デビューして間なしに、世界の3大ギタリストの一人、ジェフ・ベックとも共演するし、ハービー・ハンコックチック・コリアというジャズフュージョン界の大物とも共演している。

 

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ハービー・ハンコックの嬉しそうな事(笑)。とにかく、フレージング、リズムの取り方、グルーブ感などなど抜きん出て個性的で、なんなんだこいつは?とそのセンスというか才能には驚くしなかった。

 

で、私は彼女こそ、真の  Jacoの再来だ!とまで思うようになったのだけど、どういうわけか、インターネットの発展でいろんな情報がすぐに届くこの時代になっても、Talの活躍が思ったほどには私の耳には届かず、たまーにYoutubeにライブ動画を見る程度。デビューアルバム以降、一枚のアルバムも結局出さないまま・・・

 

まーそれでも、あれだけの才能だから本場アメリカではスタジオミュージシャンとして引っ張りだこで活躍してんだろうなぁ、などと思っていたら・・・、これが全然違った。

 

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え?誰これ?、と最初はちょっと目と耳を疑うほどだった。いやこれ、文句なしに良いのだけど、あの宇宙人的ベースはすっかり影を潜めて、こんなシンガーソングライター的な世界に行っちゃってるとは、全くの想像の外。

 

特に詳しく調べたわけでもないので、もしかするとこれはTalの活動の範囲が広がっただけで、前みたいな凄腕ベーシスト的なことも今もやっているのかもしれないけど、でもなんだかこれを見ていると、ああいうジャズセッション的なところには飽きちゃった、って感じもしたりする。

 

いや、これはこれで別に良いんだけど、なんかやっぱちょっと残念だよね。せめてあの、宇宙人的ベースプレイを多少なりとも聞かせて欲しいものです。