Jaco Pastorius の謎

最初に断っておく必要があることを冒頭で箇条書きで述べておこう。

 

  • 主は単なるベースが好きな人であって、ベースは下手くそである。
  • ベースの事について特によく知っているわけでもない。
  • ブログを書くのは初めてではないが、編集とかめんどくさいことはあまりしない。
  • 転んでも立ち上がることは出来る( ・∇・)

 

何はともあれ、本ブログのテーマはベース(ギター、またはたまにウッドベース)。ベースについて色々と好きなことを書くブログにしたい。たまに全然違うことも書くかもしれない。

 

前置きはそれくらいにして、第一回目はタイトル通り、Jaco Pastorusである。ベーシストで知らない人は・・・、まぁたまにいるけど知らない人は珍しいかな。簡単に説明すると、1970年代中盤から1980年代中盤くらいまでの10年間くらいの短い間に活躍したアメリカのプロベーシストで、それまで目立たない立場だったベーシストをヒーローにしてしまった凄い人である。

 

Jaco以前にも当然ベーシストはたくさんいたが、今でもそうかもしれないけど、どちらかといえばバンドの中ではあまり目立たない影の存在みたいだったのがベーシストで、ビートルズポール・マッカートニーのようにフロントで歌でも歌わない限り、そのベースプレイの注目されることはなかったと言えるだろう。

 

だが、Jacoは違った。Jacoはプロの世界に登場した時点からスーパーベーシストだった。何せ、第1作が自己アルバムであり、そのアルバム名も『Jaco Pastorius』だ。そのアルバムレコードに針を落とした人は、その一曲目からぶっ飛ぶ。Dona Leeっていうジャズの曲なのだが、のっけからすごい難解な早いメロディラインが始まる曲で、これをベース一本でやってしまったのだ。当時のベーシストは驚愕し、後にスーパーベーシストの一人となるマーカス・ミラーはこのアルバムをレコードプレーヤーからしばらくは下ろせなくなってしまった、と伝え聞く(いくら何でもそれは嘘だろw)。

 

そのJacoを世界的に有名にしたのは、ウェザーレポートっていうフュージョンバンドなのだが、僕もそれで知った。確か初めて聞いたのは『8:30』ってアルバムだったように思うけど、当時の僕にはその音楽は難しくてよくわからず、Jacoのプレイも「プロだから上手いのは当然」くらいにしか思ってなかった。その頃はベースに触り始めただけだったし。

 

ただ、Bard Landって曲の冒頭などで、Jacoがピッキングハーモニクスという技法を使ってメロディラインを弾いているのだけど、それはすぐに真似したのが記憶にある。何れにしても、僕の知った当時は既にJacoの名は知れ渡っていて、多くの人があまりに凄いとばかりいうものだから僕も感化されて、いつの間には僕にとってJacoはベースのスーパーヒーロになっていった。

 

だから、1987年にJacoが突然死んだと報道されたのを耳にし、僕はショックのあまり三日間くらい寝込んだ(嘘だよw)。でもその七年前に亡くなったジョン・レノンの死よりは僕にとってはデカかった。いつか生で演奏を見たいと思っていたし、新しいアルバムとかもずっと楽しみに待っていたからね。

 

さて、技術的には当時既にJacoよりも上手いベーシストは結構いた。その一人は、ジェフ・バーリンって人で、YoutubeにはこんなJacoとの共演動画もある。

 

youtu.be

この動画では短い部分しかないけど、Jacoも「ジェフ・バーリンは俺より上手い」と言っていたらしい。僕もそう思うのだけど、後半で少しだけソロプレイをするJacoの方がどちらかと言えば華がある。ジェフは上手いのだけど、正直つまらない。ある意味、Jacoは技術レベルはそこそこ高いけど、それ以上に芸達者なのである。とにかく、人より目立とうとする気概が半端ではないのが、Jacoなのである。

 

だから、ウェザーリポート時代のJacoは、バンドリーダであるキーボードのジョー・ザヴィヌルとステージ上で音量を競い合い、フュージョンバンドではあり得ないほどの大音響になっていたらしい。その存在感は圧倒的で、ソロプレイも普通のベースソロとはまるで違う。これはベース芸と言ってよかろう。

 

youtu.be

あのベース達人、ヴィクター・ウッテンがいくら超絶技法を駆使したところで、このJacoの魅せるベース芸には敵うまい。今でこそ、ルーパーを駆使して一人でバッキングとメロディを同時に演奏するのは珍しくないけど、当時はベースでこんなことをする人はいなかったと思う(知らんけどw)。デジタルディレイが流通しだして間もない頃だと思うし。

 

とにかくこの人は、圧倒的な目立ちたがりで、ウェザーリポートに加入するときも、なんと自分で「俺は世界一ベースが上手いんだ」と売り込んだそうな。はっきりそう言っているインタビュー記事がある。確かこれに載ってた、立ち読みしただけやがw

 

ワード・オブ・マウス ジャコ・パストリアス魂の言葉 (立東舎文庫)

ワード・オブ・マウス ジャコ・パストリアス魂の言葉 (立東舎文庫)

 

 

まぁ多分、ベーシストで映画になった人はJacoだけだろうし(他にいないよね?)、ジミヘンやビートルズなどと並ぶ、音楽に革命を与えた人の一人であろうし、ベースだけに留まらない、音楽史上の偉人だろう。

 

そんな凄いJacoだが、一つだけ僕にとって謎がある。それで別にいいんだけど、どうしてJacoはスラップ奏法しなかったのか?という謎だ。当時既に奏法として広まっていたし、知らなかった筈はない。あるいはどこかでやっていたのかも知らないけど、僕は見たことも聞いたこともない。

 

何か知ってる人がいたら教えて。