Jacoの再来"だった" Tal Wilkenfeld

記念すべきブログ第一回目は、Jaco Pastrius という伝説的ベーシストとしたわけだが、こうした革新的・革命的ミュージシャンが現れると、それ以後は「再来」と言われるようなミュージシャンも現れる。有名どころではビートルズがそうだった。ビートルズは音楽業界を超えて普通に歴史年表にすらその名が刻まれる偉大な存在だから、そう易々とは再来など出てくる筈もないのだが、「マ、マ、マ、マイ〜シャローナ♪」一発で終わったザ・ナックや、ほぼ日本でのみの人気で終わったチープ・トリック、匹敵するほどではなかったがそれなりに著名になったザ・ポリス、最近ではなんか雰囲気だけ似てるザ・ストライプスなど、ビートルズの再来と呼ばれたバンドはかなり多い。

 

Jacoはビートルズのようにそんな巨大な市場にはいなかったから、そんなに大勢の再来はいなかったと思うけど、リチャード・ボナなんかはJacoの再来と呼ばれた。

 

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もう大分前のことなので、ボナが出てきた頃私自身がどう思ったかもあまり覚えてないが、「こいつはすげぇ!まさかカメルーンからJacoの再来が登場するなんて!」くらいには驚いていたような気がする。但し、すぐにJacoの再来とは言いすぎだとも思っていた(無論、個人的にそう思っただけであるが……)。

 

ジョー・ザビヌルやパット・メセニーなど、Jacoと一緒にやった人達とも共演し、評判もすこぶる良くて日本では渡辺香津美とも共演している。では何故、私が個人的にボナのことを高く評価しつつも、Jacoの再来とまでは思わなかったかというと、確かに目を見張るほどに素晴らしいベーシストだとは思ったものの、些か宇宙人感が足りなかったからである(笑)

 

確か当時、他にも凄腕ベーシストはそこそこいて、例えばジョン・パティトゥイッチなんてのも凄かった。

 

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多分、時代的にはJacoが与えた影響がそれほどに凄まじかったのであろう、雨後の筍のように凄腕ベーシストになろうという意思を持つミュージシャンが増えたのだと思う。ボナもJacoの影響を受けたと言っている。

 

何れにしても、すごいベーシストが沢山現れて、ちょっとやそっとの凄さでは宇宙人感は生じない時代になってしまったのである。個人的には2000年代あたりからしばらくの間は音楽に興味があまりない生活になってしまっていたので、ベーシストにも関心は無くなっていたのだけど・・・突如、驚くべきベーシストが世に登場したのである。

 

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最初に見たのがこの動画だったことは間違いないのだけど、それが個人のブログだったのかニコニコ動画だったのかYoutubeだったのかは思い出せない。2008年くらいだったと思う。

 

こいつ、何者だ?感は、多分その若さ(この映像時はまだ十代?)も重なっていたのだろうけど、言葉ではうまく表現できないが、他のどんなベーシストとも違う、天才っぷりとでもいうか、とにかくその個性は卓越していた。まさに私が待ち望んでいた(別に待ち望んでなどいなかったがw)宇宙人感はこれであった。

 

おそらく、Talのファーストアルバムで共演した(上の動画でも共演している)、世界的ドラマーのヴィニー・カリウタがミュージシャン業界に宣伝しまくったのだと想像するが、デビューして間なしに、世界の3大ギタリストの一人、ジェフ・ベックとも共演するし、ハービー・ハンコックチック・コリアというジャズフュージョン界の大物とも共演している。

 

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ハービー・ハンコックの嬉しそうな事(笑)。とにかく、フレージング、リズムの取り方、グルーブ感などなど抜きん出て個性的で、なんなんだこいつは?とそのセンスというか才能には驚くしなかった。

 

で、私は彼女こそ、真の  Jacoの再来だ!とまで思うようになったのだけど、どういうわけか、インターネットの発展でいろんな情報がすぐに届くこの時代になっても、Talの活躍が思ったほどには私の耳には届かず、たまーにYoutubeにライブ動画を見る程度。デビューアルバム以降、一枚のアルバムも結局出さないまま・・・

 

まーそれでも、あれだけの才能だから本場アメリカではスタジオミュージシャンとして引っ張りだこで活躍してんだろうなぁ、などと思っていたら・・・、これが全然違った。

 

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え?誰これ?、と最初はちょっと目と耳を疑うほどだった。いやこれ、文句なしに良いのだけど、あの宇宙人的ベースはすっかり影を潜めて、こんなシンガーソングライター的な世界に行っちゃってるとは、全くの想像の外。

 

特に詳しく調べたわけでもないので、もしかするとこれはTalの活動の範囲が広がっただけで、前みたいな凄腕ベーシスト的なことも今もやっているのかもしれないけど、でもなんだかこれを見ていると、ああいうジャズセッション的なところには飽きちゃった、って感じもしたりする。

 

いや、これはこれで別に良いんだけど、なんかやっぱちょっと残念だよね。せめてあの、宇宙人的ベースプレイを多少なりとも聞かせて欲しいものです。