ジェームス・ジェマーソンはベースの神様なのか?

このブログの記念すべき第一回目として、Jaco Pastoriusをあげたわけだが、Jacoを神として崇める人も多いだろうが、私は神様とは呼べないと思っている。神として誰を崇め奉ろうが自由だし、崇め奉らなくても良いだろうが、Jacoを神と出来ない理由はある。

 

 

bassman.hateblo.jp

 

ベースの歴史においてJacoがもたらした影響が確かに多大だと思う。私の表現としてはベーシストもヒーローになれるという可能性を示した、ということである。だから大勢のベーシストがJacoに憧れて、難しいフレーズや早弾きフレーズをどんどん弾くようになっていったのであるが、一方でベースの果たす役割まではJacoは変えなかった。というより変えようがない。

 

バンドの中でベースは楽曲のベーシックラインとなる低音域を担当する、という役割は変えようがない。それだけではなく、いわゆる”グルーブ”を作り出していくのはベースの重要な役割である。グルーブとは何か?ということに答えるのは私ごときでは到底不可能なのではあるが、いわゆるエレキベースが用いられるポピュラーな音楽の中で、グルーブを作り出すという意味で、モータウンの与えた影響は計り知れないものがある。もっと大袈裟に言えば、モータウンミュージックこそエレクトリックベースの役割を確立させたのだとすら言える。

 

その中でも、ジェームス・ジェマーソンこそ最も大きな影響を後世に与えたと言えるだろう、彼こそエレクトリックベースの神である・・・・と、一般普遍的にはそう思われているようなのだが、ただモータウンの専属ミュージシャンとして一番活躍していたというだけじゃないの? という意見もあったりする。あるいは、モータウンレコードでは1960年代ごろはミュージシャンがレコードにクレジットされないことが多かったということもあり、実際にベース弾いていたのかが誰なのかわからず、キャロル・ケイなんつーロサンゼルスはハリウッドの白人女性ベーシストがその大半を担ってた可能性もある(実際、ロサンゼルス版のモータウンレーベルではその大半がキャロル・ケイらしい)、なんてな議論も一部ではあるようだ。

 

youtu.be

 

まぁ、上の動画ではちゃんとジェームス・ジェマーソンも映ってるしちゃんと弾いていたのは間違いない事実ではあろう(当然だけどw)。ただ、確かにジェマーソンは多くの名演をしたのは間違い無いのだろうけど、キャロル・ケイやチャック・レイニージェリー・ジェモットなど他の著名ベーシストも同時期に多くの楽曲に関わっており、私としてはジェマーソンだけを別格にする必要もないかなと思っていたりする。

 

youtu.be

 

ね、キャロルもジェマーソンに全く引けを取らないグルーブと歌うようなベースラインでしょ? これいつの頃なのか知らないけど、クールでかっこいいよね。ポール・マッカートニーなんかはよくジェームズ・ジェマーソンの影響を受けたなんてな話をするんだけど、実はその曲はキャロル・ケイが弾いていたなんてな話もあったりするようで。

 

結局のところ、同時代に活躍したベーシストさんたちみんなで”グルーブ”を作り出していったんじゃないのかなと、私自身はそんなふうに思ってます。それにしても、この1960年代から1970年代にかけてのこうした音楽を聴くと、ベーシストさんが多くのことを学べるのは間違いありません。そういう意味で、その象徴としてジェームズ・ジェマーソンはベースの神の一人ではあるでしょう。

  

伝説のモータウンベース  ジェームス・ジェマーソン (Bass magazine)

伝説のモータウンベース ジェームス・ジェマーソン (Bass magazine)